ハングルと私 その3 ハングルの特徴

朝鮮語は構造上は日本語に似たアルタイ(Altai)語型といわれます。アルタイ地方とは、西シベリア(Siberia)南部のオビ川(Obi River)の流域に広がる地域です。アルタイにはロシア帝国時代の政治犯らの流刑地であったクラスノヤルスク(Krasnoyarsk)という都市があります。戦後樺太で抑留された私の叔父が昭和28年頃ここで亡くなったという通知を父が貰ったのを覚えています。

朝鮮語の文章の要は述語にあるといわれます。述語は文末に位置します。アルタイ語は(主語-目的語-動詞)の語順をとること、文法では名詞の格や動詞の活用を示す語尾を語幹末に付着させて示すことなど、日本語とよく似た類型を示します。

ハングルは1443年に「訓民正音」の名をもって李朝第四代の国王、世宗のもとで作られます。ハングルは表音文字で要素文字24字はそれぞれ単音を示します。ローマ字と異なり要素文字の結合で一つの単位をつくり、一音節を表します。要素文字24字中、14文字は初声(終声)で子音を表し残りの10文字は母音を示します。

世宗大王

朝鮮語の子音体系で特徴的なのは、初声の場合、閉鎖音、p、t、k、及び破裂音cに無気音、有気音、濃音の3種類があることです。濃音とは子音の発音のとき、咽頭に激しい緊張を伴い、日本語でいう促音のような響きを持ちます。朝鮮はかつては古中国文化圏に属していたといわれます。従って漢字を書くのが知識人の資質でありました。その結果、日本と同様に漢字を長く使ってきました。漢字は必ず朝鮮独特の漢字音で音読し、日本のように訓読することはありません。

ただ、漢字を朝鮮語に順応させようとした試みがあったようです。日本のように漢字から仮名を作り上げるようなことは韓国ではありませんでした。今日の韓国は漢字廃止の方向にありますが、全廃には至っていません。新聞や雑誌などには依然として漢字が使われ、ハングルと併存しています。現代の文学作品では漢字は用いられていません。