トルコ人は日本人に対して親しみを持ち、両国間で友好関係が築かれているといわれます。しかし、それは官僚や一部の政治家からみたステレオタイプな観察のようです。そのことが今回の話題です。
今や、トルコの経済はヨーロッパや中東諸国、そして中国に依存しつつあります。貿易で栄えたトルコは、昔から経済活動に非常に敏感で旺盛な国です。欧米や中国、韓国、日本に対して多くの投資を期待し、企業の参入を競わせているのがトルコです。日本で喧伝されるほど一般国民の日本に対する関心は必ずしも高いとはいえないようです。
1890年の和歌山県串本町沖でのエルトゥールル号(Ertugrul)遭難事件、1905年ロシアとの日本海海戦での勝利などは、多くのトルコ人の記憶から忘れられています。10月末のボスポラス海峡横断地下鉄開業にあたり、安倍首相がトルコを訪問しましたが、トルコへの企業の進出はヨーロッパや中国に比べて遅れているようです。経済連携協定(Economic Partnership Agreement:EPA)に向けた交渉は今も続いています。
経産省の資料によれば、2012年度のトルコの総貿易額は輸入が輸出を大幅に上回っています。輸出先ではEU(47%),イラク(6.2%),中国(9.0%)、ロシア(4.4%)、日本(1.5%)でこれは,第12位にあたります。輸入ではEU(37.9%),ロシア(9.9%),中国(9.0%)、日本(1.8%)となっており、輸入額の順位では第10位という状態です。いずれも中国や韓国には及びません。2016年の名目GDPは約8,600億US$であり、2020年には1兆US$を超えると予測されています。
元々親日的といわれたトルコではありますが、このような貿易高の統計や実体経済からすれば、まだまだ両国の関係は深いとはいえないのではないでしょうか。