世界を旅する その四 ポーランドと日本 「戦場のピアニスト」

忘れられない映画に「戦場のピアニスト」という戦時中のポーランドの首都ワルシャワ(Warsaw)を舞台とした作品があります。監督は多くの人道的な映画を作ったポランスキ(Roman Polanski)です。ワルシャワの放送局でピアニストをしていたユダヤ系ポーランド人、シュピルマン(Władysław Szpilman)が映画の主人公です。

ドイツによる空爆の後に、ワルシャワは占領されシュピルマンと家族はユダヤ人居住区であるゲットー(ghetto)に移住させられます。やがて家族は大勢のユダヤ人とともに強制収容所行きの汽車に乗せられのですが、シュピルマンは知人の計らいで脱出します。その後友人等の助けによって工場で働くのですが、そこも追われ廃墟と化した街を転々と身を隠すのです。ワルシャワ蜂起(Warsaw Uprising)という抵抗運動が起こるのですが、鎮圧されてしまうのを目の当たりにします。

半壊したような建物に潜みながら、そこにあるピアノの前に坐り、音をたてないように鍵盤を弾き始める動作をするのです。建物の中で見つけた缶詰をあけようとするところに、ドイツ将校ホーゼンフェルト大尉(Wilm Hosenfeld)に見つかります。名前や職業を訊かれ、ピアニストだったと答えます。ホーゼンフェルトはシュピルマンになにか曲を弾くように命じます。彼はショパンのバラード第1番ト短調(Ballad I G Minor)を静かに弾き始めるのです。

それからホーゼンフェルトは寒さに震えるシュピルマンに自分のマントを与えたり、食糧を届けるようになります。ソ連軍が侵攻してワルシャワは解放され、よれよれの姿でシュピルマンも廃墟からでてきます。ホーゼンフェルトと兵士らは捕虜となり、周りを通りかかるポーランド人からののしられるのです。