キリスト教音楽の旅 その3 プロテスタント教会

プロテスタント教会(protestant church)は、1400年代のルター(Martin Luther)やカルヴァン(Jean Calvin)以来の教会であり、さほど歴史は古くはありません。信徒数はカトリックの半分以下ですが、音楽としては多大な影響と比重を占めています。日本のプロテスタント教会の大勢はカルヴァンの改革派(Reformed church)で、ルター派の福音教会は割合としては少数です。

福音教会もカトリック教会と類似した典礼や礼拝様式を持っています。英国国教会はアングリカン・チャーチ(Anglican Church)とか聖公会といわれ、教義上はプロテスタント,儀礼や礼拝はカトリックという独自の立場をとっています。世界中に38の管区と約4,500万の信徒を有しています。日本聖公会が発足したのは1887年です。

カトリック教会は、聖書以外にも教会の伝統、教皇の権威を重視します。聖職者の祭司的特権も認めています。プロテスタントの各派はいずれも聖書を信仰の基礎に据え、教会の儀式によらず個人の信仰によって救われるという考え方に立ちます。聖職者と信徒との間に根本的な区別は認めません。その考え方を「万人祭司」(universal priesthood)といいます。

教会音楽の形態を分類するとき、典礼的教会と自由教会というように分類すると分かりやすくなります。典礼的教会とは礼拝に一定の式文を用い、その式文は教会歴によって一年間の式音楽が定められています。ローマカトリック、ギリシャ正教、英国国教会、ルター派の教会は、典礼的教会で各日曜主日の礼拝式や結婚式、葬儀に至るまで、その時朗読する聖書箇所、祈り、聖歌や讃美歌などは決められています。式文は簡素化されることもありますが、礼拝を盛大に行うときは式文に添い、音楽は礼拝そのものと不可分となっています。聖歌隊の発達はそうした伝統によっているのです。