心に残る名曲  その百九十三 ヨハネス・オケゲム Qu’es mi vida, preguntais

中世ルネッサンス音楽に戻り、しばらく西洋の音楽家から離れることにします。ヨハネス・オケゲム(Johannes Ockeghem)は、中世ルネッサンス音楽を席巻したといわれるフランドル楽派(Franco-Flemish school)の作曲家です。すでにこのブログで取り上げてきたデュファイ(Guillaume du Fay)やジョスカン・デ・プレ(Josquin des Pres)と同じく15世紀の半ばに活躍した作曲家といわれます。

現存する作品はごくわずかで、14のミサ曲、レクィエム、9つのモテット、バンショワ追悼のシャンソン・モテット、21のシャンソンだけです。オケゲムのミサ曲のうち13曲は、15世紀後期の筆写譜集「キージ写本」(Chigi codex)によって伝承されています。「キージ写本」とはフランドル(Flemish)地方の音楽原譜集のことです。

オケゲムの曲です。「死者のためのミサ曲」(Missa pro Defunctis)は、現存する最古のポリフォニックなレクィエムといわれています。多声部の響きが敬虔さ伝えています。ごくわずかの現存する作品の中で技巧を凝らした36声部のための「主に感謝せよ」 (Deo gratias)、「私の愛する人」(Ma maitresse)は、オケゲムの表情豊かな音楽と作曲技法を伝えてくれています。

Johannes Ockeghem

デ・プレに強い影響を与えたように、カノン(canon)という複数の声部が同じ旋律を異なる時点からそれぞれ開始して演奏する様式用いた「キリエ」(Missa Prolationum-Kyrie)は美しい音を響かせています。オケゲム自身が著名なバス歌手で聖歌隊指揮者でもあったことから、オケゲムの多声部におけるバスの旋律はかなり込み入っており、複雑な響きを与えています。

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