心に残る名曲  その百四十五 ギヨーム・デュファイ 「ミサ ロムアルム」

デュファイ(Guillaume du Fay)はベルギー(Belgium)の首都ブラッセル(Breersels )生まれ。15世紀、ルネサンス期(Renaissance)に活躍したブルゴーニュ楽派 (Burgundian School )の作曲家、音楽家です。音楽の形式および楽想の点で、中世西洋音楽からルネサンス音楽への転換を行なった音楽史上の巨匠といわれます。

デュファイの音楽的な才能は、地元の教会から注目されていたようです。聖歌隊員となり教会は彼の才能を育てていきます。16歳のときカンブレー(Cambrai)近郊のサンジェリー教会(St.Géry Cathedral)で副助祭(benefice)として働き始めます。1426年にイタリアのボローニア(Bologna)に戻り、ローマ教皇特使であるアルマン枢機卿(Cardinal Louis Aleman)の元で仕えます。やがて執事となり1428年に司祭として叙任されます。

聖職者でありましたが、デュファイは旺盛な作曲活動をします。楽風は中世的要素を備え、やがてルネサンス音楽へと成熟しブルゴーニュ楽派の中心的人物となります。ブルゴーニュ楽派とは、ブルゴーニュ公国で活躍した作曲家達のことで、その精華は世俗歌曲にあり、通例3声のポリフォニーが声と楽器で優美に演奏されます。その後期の作品には、ルネサンス音楽の次の時代となるヨーロッパ普遍の音楽様式を確立するフランドル楽派(Flemish school)に通じる要素も見られます。各声部に均衡のとれた 4声ポリフォニー手法を特色とします。「ミサ ロムアルム」(Missa Lohomme)が知られています。後に「ルネサンス音楽におけるバッハ」というように15世紀最大の巨匠とも評価されるほどです。