再度、ピアノ協奏曲第一番を取り上げます。演奏者はスヴャトスラフ・リヒテル(Sviatoslav Richter)です。ドイツ人を父にウクライナ(Ukrayina)で生まれ、主にロシアで活躍したピアニストです。在留ドイツ人として扱われたといわれます。その卓越した演奏技術から20世紀最大のピアニストと称された人です。
ドイツ人の父の家は代々ドイツルーテル教会に属する商家でした。幼いころに一家はオデッサ(Odessa)に移住します。父親は同地におけてルーテル派の教会である聖パウロ教会で合唱団長や、オルガン奏者を務めていました。また、音楽学校で教師をも務めたようです。
20世紀の最も偉大な巨匠の1人で、おそらくリヒテルの名前を知らないクラシック音楽愛好家はまずいないでしょう。しかし、その圧倒的な知名度にもかかわらず、彼は神秘のヴェールに包まれた謎の多いピアニストだったようです。当時の社会主義国家ソ連のイデオロギーの只中にいた彼は、出国を許されず、鉄のカーテンの西側の地方では、すごいピアニストがいるらしいともっぱら噂だったといいます。
その彼が西側に登場してセンセーショナルな話題を 呼び、衝撃を与えたのが1960年のことです。当時の録音によると、ラフマニノフの代表的な交響曲第一番は、彼が知性と感性と強靭な技巧を併せ持った、稀に見るピアニストであることを示していたという評価がされます。
リヒテルは日本にも何度も訪れて演奏しています。その静と動、強と弱、剛と柔の対比を極端につけた演奏は多くの人の魂を揺さぶり、 強い説得力を持って聴く人に迫ってきたと評価されています。
彼は非常に大きな手の持ち主で、一説によると、鍵盤の12度を上から悠々つかめるほどの、いわば「化け物の手」 を持っていたといわれています。超人伝説を語るエピソードになっています。
チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第一番 変ロ短調」
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