心に残る名曲 その三十五 「ウ・ボイ(U Boj, U Boj!)」

クロアチア(Croatia)の愛国歌といわれる勇壮な男声合唱曲です。意味は「戦へ、戦へ」。ザイツ (Ivan Zajc) によって1866年に書かれました。作詞はマルコヴィッチ (Franjo Markovic)で、1876年に作曲した歌劇の終幕の一節としても歌われてきました。

クロアチアは、東ヨーロッパ、バルカン(Balkans)半島に位置する共和制の国です。この半島でクロアチアは、西にスロベニア(Slovenia)、北にハンガリー(Hungary)、東にボスニア・ヘルツェゴビナ(Bosnia and Herzegovina)、セルビア(Serbia)と国境を接しています。南はアドリア海(Adriatic Sea)に面し対岸はイタリア、東にモンテネグロ(Montenegro)と接しています。首都はザグレブ(Zagreb)です。

ヨーロッパの火薬庫と呼ばれた、第一次世界大戦勃発の原因も財政問題と関連したバルカン半島の民族問題にありました。1990年代以降にユーゴスラビア(Jugoslavija)紛争が発生します。その端緒、1991年にクロアチアはそれまで連邦を構成していたユーゴスラビア社会主義連邦共和国から独立します。しかし、民族紛争は2001年まで続きます。

ブリタニカ大百科事典によりますと、1991年にクロアチアがユーゴスラビア社会主義連邦共和国から独立する前は、セルビア語(Serbia)と同一の言語だったようです。現在のクロアチア語ではもっぱらラテン文字を使用しています。

前置きが長くなりましたが、「ウ・ボイ(U Boj, u boj!)」はザイツが作曲した歌劇にでてきます。1566年頃にハプスブルク帝国(Habsburgisches Reich)に攻め入るトルコ軍と要塞を守るクロアチア太守をめぐるもので,最後に彼と兵士たちがトルコ軍めがけて突撃する場面で歌われたようです。