この歌は奴隷であった人々が自由を渇望して、約束の地、カナン(Canaan)にやってきたイスラエル人と重ね合わせて歌う内容となっています。
黒人霊歌の題材は主として旧約聖書からとられ、哀愁を帯びたものが多いといわれます。リズムは欧米の民謡と異なり、シンコペーション(syncopation)が多いのが特徴です。シンコペーションとは、拍節の強拍と弱拍のパターンを変えてリズムに変化を与える手法です。民俗音楽の研究から、アメリカの黒人は、彼らの音楽に対する嗜好を新大陸に移ってから得た宗教的な素材と結びつけていった、というのが一般的といわれます
旋律自体の構成は比較的短く、一つか二つの音節の単純な繰り返しが多いのですが、あまり長いものではありません。この曲もそのような構成となっています。
奴隷解放後は黒人の意識が変化するにつれ、次第にスピリチュアルは影がうすくなります。スピリチュアルは南部の保守的な教会に残るのですが、都市の会衆の間では次第に廃れ、それに代わって黒人の新しい意識を反映したゴスペルソング(Gospel Songs)が優勢となります。