心に残る名曲 その十五 「マニフィカト ニ長調 BWV243」

ラテン語の「Magnificat」とはマリアの賛歌と云われ、カトリック教会の典礼において夕べの祈りの中心をなす歌のことです。ラテン語での名称は「Canticum Beatae Mariae Virginis」といいます。「Canticum」とはキリスト教における聖歌の一つです。歌詞はルカによる福音書(Gospel according to Luke) 第1章46~55節に由来し、〈わが魂は主をあがめ Magnificat anima mea Dominum〉の最初の語の名称に由来します。マリアがバプ   テスマ(Baptisma)のヨハネの母となるべきエリサベツ(Elizabeth)を訪ねたときに受けた受胎告知の祝詞に対して答えた賛美の歌でです。

わたしの魂は主をあがめ、
わたしの霊は救い主である神を喜びたたえます。
身分の低い、この主のはしためにも
目を留めてくださったからです。

マリアの賛歌のあとには、典礼の中でしばしば使われる「頌栄」(doxology)という賛歌が続きます。祈祷文ともよばれます。聖務日課の晩課で歌われるほか,多声部の作品も多く,オルガン曲にも作曲されています。 プロテスタント教会で使われる頌栄の一つは次のような祈祷文です。

父、御子、御霊の神に、御栄えあれ、
始めも、今も後も、代々に絶えず アーメン

Glory be to the Father, and to the Son, and to the Holy Ghost.
As it was in the beginning, is now and ever shall be, world without end. Amen.