心に残る一冊 その55 「風と共に去りぬ」

アメリカ南北戦争(American Civil War)時代を舞台とするリアリズムの歴史小説といわれるのがこの作品です。原題は「Gone with the Wind」。出版は1936年です。作者はマーガレット・ミッチエル(Margaret Mitchell)。映画にもなりました。南北戦争は1861年から4年間続きます。

Olivia de Havilland and Hattie McDaniel, featured here in a scene still from “Gone with the Wind,” were both nominated in the Supporting Actress category at the 12th Academy Awards®. McDaniel won the Oscar® for her role as Mammy in the 1939 film. Restored by Nick & jane for Dr. Macro’s High Quality Movie Scans Website: http:www.doctormacro.com. Enjoy!

北軍(Union)と南軍(Confederate Army)の戦いによる南軍の敗北、破壊と再建というアメリカで最も激動の時代を描きます。そこに生きたのが、美貌で勝気な気性の少女スカーレット・オハラ(Scarette O’hara)です。彼女を巡る愛欲関係と激動する社会を南部人の立場から描いています。

ジョージア州(Georgia)アトランタ(Atlanta)は南部の心臓部です。そこに近いタラ(Tara)に大農場主オハラ家の娘がスカーレットです。しかし、スカーレットは、近くに農場を持つウィルクス家(The Wilkes)の長男、アシュレイ(Ashley)の貴族的で優雅な文化と教養に惹かれます。アシュレイにはメラニー(Melanie Hamilton)という献身的で寛容な妻がいます。

緒戦は南軍が優勢でした。綿花を中心に農業を中心として富を貯え、さらに多くの優秀な指揮官がいたこと、奴隷制を維持し南部の生き方を守る、侵攻してくる北軍から郷土を守るといった明確な目的があるため士気が高かったといわれます。戦争が長期化するにつれて、装備、人口、工業力など総合力に優れた北軍が優勢に立つようになっていきます。

もう一人の主人公がレット・バトラー(Rhett Butler)。すでに南軍の敗北を予見し、戦争を馬鹿げた浪費だといって、密輸入によって巨利をしめる大胆な男です。スカーレットの前に現れては、独特のやり方で求愛し、やがて二人は結ばれ娘をもうけます。しかしスカーレットは娘を失います。自分を姉のように慕っていたメラニーまでが流産により命を落とします。死の床のメラニーに指摘されて初めて自分が愛しているのはアシュレイではなくレットだということを自覚します。

メラニーによって、スカーレットはそれまで何かを探していた自分のその何かがようやく見つかったと思い急いで帰宅し、レットに愛を打ち明けるのですが、レットはすでにスカーレットに疲れきっていました。もはやスカーレットを愛してはいないことを説明し、故郷に帰ってしまいます。娘とレットとメラニーを失い、ついに孤独となったスカーレットは、タラの地にて再出発の一歩を踏み出そうと決意します。