ペンシルヴァニア州(Commonwealth of Pennsylvania)の歴史です。1643年、最初にペンシルヴァニアに入植したのはスェーデン人ですが、1656年にはオランダ、1664年にはイギリスへと支配が移ります。イギリスのチャールズ二世(Charles II)がクェーカー教徒(Quaker)の代表、ウイリアム・ペン(William Penn)にこの土地を与えたとあります。「Sylvania」とはラテン語で「森の土地」とあります。そのようなわけで「Pennsylvaniaは」「ペンの森」となります。
ウイリアム・ペンは敬虔なクェーカー教徒でした。植民以前は信仰の自由を訴え、イギリス国教会(Church of England)に異を唱えたために、一時ロンドン塔(Tower of London)に収監されたこともあります。イギリス国教会はイギリス聖公会(Anglican Churchi0とも呼ばれます。イングランドの統治者が教会の首長であるという政治的な意図にペンは我慢がならなかったのではないでしょうか。ペンは、植民地時代はインディアンとの友好関係を大事にした人物です。
イギリスからの独立後、1790年から1800年の間、連邦政府の首都となったのがフィラデルフィア( Philadelphia)です。現在も州で最大の都市です。現在の州都はハリスバーグ(Harrisburg)となっています。ペンシルヴァニアは全米屈指の製鉄業地帯です。ピッツバーグ(Pittsburgh)やベスレヘム(Bethlehem)が中心で、製鉄を支えるアパラチア(Appalachian)炭田があります。その他、粘土、石材、石油、天然ガス、亜鉛などの鉱産物でも知られています。
ところで「Pennsylvania Dutch」という言葉があります。信仰の自由を求めてペンシルヴァニアに移住したドイツ系移民とその子孫、あるいはその言語を指す言葉です。オランダの意味ではありません。宗教的にはモラビヤ派(Moravian)、メノー派(Mennonite)、特にアーミッシュ(Amish)に属する者が多く、移住後も伝統的な宗教、言語、風俗や習慣、教育を維持したので注目されました。アーミッシュの集落が多いことで知られる州です。
最後に、ペンシルヴァニア州のニックネーム「Keystone State」の由来です。13の植民地の真ん中に位置し、その後合衆国の経済や社会、政治の発展に大きな役割を果たします。