超一流の棋士は自分だけの「悟り」があるといわれます。その一つが「いかに打つか?」と自問することだといいます。自らこの疑問を抱かないと創造力が生まれないというのです。「悟り」とは個性から生まれるのかもしれません。
「いかに?」という質問をするのが大切だという常套句は誰にもあてはまる格言です。興味とか関心は「いかに?」という問いが育むものです。碁に関していえば、ただ強い人の手を真似ても強くなれないし、勝つことは難しいのです。碁で上手になるための敵は自らの固定観念に捕らわれることだ、とよくいわれます。自分の形に執着し、その殻から抜け出せないということです。相手は、こちらが覚えている形とか定石にそって打ってはくれないのです。定石の変化を勉強していないと、間違った手を打ちがちです。
呉清源九段は、昭和の日本の棋界を風靡した偉大な棋士といわれています。氏曰く「定石は50覚えれば十分」といった名句を残しています。陰陽思想を取り入れ、「碁盤全体を見て打つ」ことを提唱します。「森羅万象のありとあらゆる物は、相反する陰と陽の二気によって消長盛衰し、陰と陽の二気が調和して初めて自然の秩序が保たれる」というのです。陰は黒石、陽は白石を表します。
定石という知識はいわば碁でいえば常識です。定石を増やすことによって、打ち方の対応が柔軟にできるのです。しかし、定石という知識は浅いとすぐ失われます。新しい定石にとって代わられる可能性があるのです。定石はしっかりと学んでさらに進化した定石を勉強することです。
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