アムステルダムに行ったとき、ダウンタウンにある国立美術館に立ち寄りました。そこでレンブラント (Rembrandt van Rijn)の「夜警」 (De Nachtwacht)をみました。市民の自警団が集団の肖像画を発注した絵の一つです。描かれて人物は銃や槍、太鼓、旗を手にしています。各団員はそれぞれ表情を見せて異なった方向に体を向けています。皆帽子を被り服装もまちまちです。火縄銃に弾を込める団員もいます。子どもや犬も描かれています。完成は1642年とあります。光と影の明暗を明確にする技法を駆使したバロックの黄金期を代表する絵画の傑作といわれています。
バロック絵画の時代は宗教画や歴史画が頻繁に描かれます。当然レンブラントも宗教画、歴史画をたくさん描いています。例えば「放蕩息子の出戻り」(Return of the Prodigal Son)があります。ルカによる福音書15章11節(Luke 15:11-32)が主題です。この絵はただの宗教画ではありません。キリストもマリアも弟子も十字架も描かれていません。息子を抱く慈愛に満ちた父親、冷ややかに弟の帰りを見つめる兄弟がいるだけです。聖書のエピソードを情感を込めて描いた新しい宗教画といえましょう。
「夜警」を描く頃、レンブラントは家族の不幸に見舞われます。妻のサスキア(Saskia)との間に生まれた四人のこどものうち三人を亡くします。彼の子供のうち、成人を迎えられた者は1641年に授かった息子だけだったようです。「夜警」が制作された1642年にサスキアも亡くなります。画家としての名声を確立するのですが、家族との別れや経済的な困窮に苦しめられた晩年生活であったと記録されています。光と影の絵にレンブラントの生涯が描かれているのでしょうか。
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