時代小説「居眠り磐音 江戸双紙」の登場人物の会話に、励ましや諭し、赦しや癒しとなる言葉が見られます。それを取り上げながら、人情の機微や綾などを考えています。坂崎磐音は当代、随一の剣術家ですが、「過激さの持つ剣は瞬間的で一時的なもの、人間は心身ともに癒しの要素を持つものを本質的には受け入れる」のだといいます。そして、剣術の鍛錬に求められるのは安らぎと平穏であることを弟子達に教えます。
両替商行司今津屋の大番頭、由蔵はいつも穏やかなのですが、ときに磐音に呆れることがあります。自分が紹介した湯屋での仕事で磐音に損をさせてしまうのです。探索のために磐音は自分の持ち金二両を使います。そして僅かの報酬を貰います。今津屋支配人、林蔵も対して「坂崎さんを他人に紹介するものでない、あれではなんのための紹介だったか、、」と呟くのです。
由蔵 「一両四百文をもらって得々とするのが、どこの世界にいるというのです。商人はそれでは一日で干上がります。」
磐音 「さあ、、さほどのことをしていませんから、、」
由蔵 「呆れた、これには呆れた、」
林蔵 「いかにも坂崎さんらしいではありませんか」
由蔵 「なにを言っているんですか、笑い事ではありませんよ!」
磐音に、由蔵はあとで湯屋へ出掛け、磐音の働きとして五両を貰ってくるのです。由蔵は磐音の他人のために汗をかく損な性分に呆れながらも、情に厚く頼まれると断れない気質にほだされ、おこんと同じようにその人柄と人望に信頼をおいていきます。
[contact-form][contact-field label=’お名前’ type=’name’ required=’1’/][contact-field label=’メールアドレス’ type=’email’ required=’1’/][contact-field label=’ウェブサイト’ type=’url’/][contact-field label=’コメントをお寄せください’ type=’textarea’ required=’1’/][/contact-form]