「懸想」とは恋い慕うこと、思いをかけることです。どうも、男女どちらの情も示す語のようです。
「懸」という漢字の意味からです。「字通」によりますと、物がぶら下がる、物事が宙づりになったまま決着つかないさま、かけ離れる、隔たる、遠い、むなしく思うといった意とあります。そこから「懸想」とは、男女の情愛を示す語となったということです。想いが成就するかどうかは、不明であることを予感するような響きです。
「懸想文売り」というのが登場します。正月元旦から15日まで、祇園で法師姿で赤い布衣をつけ、鳥帽子をかぶり白い布で覆面し、懸想文を売り歩いたのが「犬神人」と呼ばれた下級の神官です。
江戸でも同じように正月になると辻占いの一種である「懸想文」が売りにだされました。もと花の枝につけた艶書のことです。男女が良縁を得るようにと、細い畳紙の中に米粒をいれて縁起物としたようです。今は、2月2,3日の節分に見られる行事だそうです。
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