中国から伝来した漢字ではなく、日本で作られた漢字は国字とか和字、倭字と呼ばれます。漢字の分類法の一つに「会意」があります。2つ以上の漢字を組合せ,両者を合せたものに近い意味と字形をもつ1字の漢字をつくる構成法のことです。「会意」によって作られた漢字を和製漢字とか和字と呼ばれます。この「会意」を意識すると漢字を覚えやすくなります。
「会意」の例ですが「木」であれば林、森、「車」であれば轟といった按配です。その他、凧や凪、凩など、身近なものとしていろいろとあります。「めとる」という漢字は「娶」ですが、「女」を「取」るという具合です。姑という漢字も古いと女が合わさっています。合点がいきます。
漢字の別な会意ですが、神道の神事で神棚や祭壇に供えられる植物が「榊」です。これもなるほどと頷けます。椋、杼、栢、樫、椚、椙、橿など漢字自体が意味を表すものです。
国字はもともとは中国の漢字の字体にならって新たに作られた漢字のこと。その特徴といえば、漢字は通常、音と訓読みがありますが国字には音がないのが通例です。畠、峠、粁、躾、鮨など音のない漢字が多数あります。
次に「国訓」です。漢字が日本語を表記するようになると、次第に漢字には、中国とは異なる意味や用法が現れてきます。それが「国訓」と呼ばれる姿です。「水」を訓で「みず」、「侵」を「おかす」と読ませることです。いわば日本製の字の意味のことです。「愛」とは立ち去るときに後ろ髪がひかれる心情の「いつくしみ」であり、国語では「かなしみ」となります(常用字解 白川静著 )。「杜」という字は「杜甫」という詩人や「杜絶」という熟語がありましたが、日本でモリと呼ばれるようになったのが国訓の例といえます。