音楽の楽しみ その21  合唱曲の数々 「Black Spirituals」

合唱曲を紹介していますが、話題が前後してしまいます。既にBlack Musicを少しだけ取り上げております。どうかお許しを。

合唱曲には、霊歌(Spirituals)と呼ばれるジャンルがあります。霊歌は讃美歌より広い意味で使われています。その名称の由来は、新約聖書、エペソ人への手紙 (Ephesians 5:19) に「詩と賛美と霊の歌とによって主に感謝して、、、、」という聖句にあります。ここでは白人や黒人の区別ありません。一般に礼拝用讃美歌は「spiritual song」と呼ばれるようになりました。

今日「spiritual song」の代表が黒人霊歌(ニグロ・スピリチュアル: Negro Spirituals)といわれます。アフリカ大陸から強制的に連行され、奴隷となった黒人たちの生活の中で育まれ口頭で伝えられる歌であるという説のほか、白人の間の宗教歌が黒人に影響を与えて発生したのがNegro Spiritualsだ、という説もあります。今日、「ニグロ」という単語は蔑視的であるとして単独では使われません。そのため、黒人霊歌は「Black Spirituals」と呼ばれるようになりました。

奴隷の中にキリスト教が広まります。その人々の中に生きていた独特の音楽のリズムや旋律と賛美歌が融合したものが黒人霊歌と考えられています。プランテーション讃美歌 (plantation hymnals)とか奴隷の歌 (slave songs)、ゴスペル(Gospel) と呼ばれてきました。ちなみにGospelとは「キリストとその使徒たちの説いた教え」とか「救いと神の王国に関するよき便り」という意味です。

奴隷としての黒人は、新大陸で過酷な労働に生きます。その中で生まれた黒人霊歌は慰めや救いを求める証しとされます。北大男声合唱団で歌った曲の一部を紹介します。こうした曲の主題は旧約聖書の物語からとったものが多いことがわかります。

「スウィング・ロー、スウィート・チャリオット」(Swing Low, Sweet Chariot)
「深き河」(Deep River)
「行け、モーセ」(Go Down Moses)
「アメイジング・グレイス」(Amazing Grace)
「聖者の行進」(When the Saints Go Marching In)
「漕げよマイケル」(Michael Row the Boat Ashore)
「ジェリコの戦い」(Joshua Fit The Battle Of Jericho)
「ロック マイ ソウル」 (Rock My Soul)
「誰も知らない私の悩み」(Nobody Knows the Trouble I’ve Seen)
「クンバヤ  マイ ロード」 (Kumbaya My Lord)

「クンバヤ  マイ ロード」と「深き河」は前回と前々回に紹介しました。次回は「Swing Low, Sweet Chariot」を紹介することにします。

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