アメリカ軍による日本本土への初空襲は1942年4月18日といわれます。首都東京への本格的な空襲は1944年11月24日に始まり、1945年3月10日の下町空襲へと続きます。勉誠出版の東京空襲写真集によりますと、この日の空襲では低高度から1600余トンの焼夷弾が投下され、95,000人を超える人々が亡くなりました。一日の死者としては原爆を超えて最大とあります。東京大空襲・戦災資料センターや江戸東京博物館に行きますとその惨状が伝わってきます。
戦争の悲惨さや不条理さが取り上げられています。この体験が風化しないようにすることの難しさもいろいろと語られています。映画は戦争を語り継ぐものとしてその役割を果たしています。そして映画音楽もその一翼を担っています。
第二次大戦のタイ(Thail) とビルマ (Burma) を舞台として、戦争の非情さと人間の愚かさを描く不朽の名作といわれるのが「戦場にかける橋」(The Bridge on The River Kwai)です。舞台は両国の国境近くにある日本軍の捕虜収容所とクワイ河 ( River Kwai) です。連合軍捕虜を使って国境に流れるクワイ河に鉄橋を架ける計画が進められます。ニコルソン (Nicholson)英軍大佐(アレック・ギネス: Alec Guinness)はジュネーヴ協定を盾にして、捕虜収容所長の斉藤大佐(早川雪洲)と対立します。彼は最初、橋造り作業を拒否するのです。収容所にいたアメリカ人の海軍少佐と偽る捕虜(ウイリアム・ホールデン:William Holden)は脱走を試み、やがて完成する橋の爆破に加わります。
橋の完成によって捕虜となり誇りを失っていた兵士の意気が上がります。戦いに負けて捕虜になった者が自分たちで造った橋の完成で勝利の気分を味わいます。ところが映画のお終いでは、鉄橋の破壊を命じられた潜入部隊によって一番列車が通る橋が、無残にも爆破されます。その悲惨な光景を見ていた士官は呆然として「愚かしいことだ、信じられない、、」と叫ぶのです。
この映画のテーマ音楽が「クワイ河マーチ」です。数ある映画音楽の中でも最も親しまれている作品の1つとされます。もともとは「ボギー大佐 (Colonel Bogey)」と呼ばれていたのをこの映画で使ったようです。イギリス軍兵士が口笛を吹きながら歩くこの行進曲は、兵士の士気を鼓舞します。この状況での音楽は、「美的な価値の追求」といったものではなく、「帰属意識を高める」役割を果たしています。これも音楽が有する特徴といえましょう。
1957年の映画ですが、今に伝えるメッセージで一杯です。機会がありましたらご覧ください。
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