このところウィスコンシン州はいろいろと話題に上っている。その一つが2016年の大統領選挙の共和党候補者の一人として、現在の知事スコット・ウォーカ(Scott Walker)が噂されるからだ。だが彼は現在、ウィスコンシン州検察当局から2011年のウィスコンシン州上院選挙、および2012年の知事解任選挙の期間に選挙資金集めによる不法調整が行われたとして調べを受けている。
検察官の調査報告は、ウォーカが保守派の複数のグループと資金集めを調整し、その犯罪行為の中心人物であるととしている。犯罪行為の一つは、虚偽のキャンペーン財務報告をしたとされる。この不法資金集めと調整には、ブッシュ政権下で次席補佐官、大統領政策・戦略担当上級顧問を務めたカール・ローブ(Karl Rove)が関与したとされる。彼は「影の大統領」ともいわれたことがある。しかし、どの程度まで関与したのか詳細は不明のようだ。
知事のスコット・ウォーカだが、2011年1月ウィスコンシン州知事として就任する。早々に労働組合の団体交渉権や賃金交渉権を制限するなど、対立勢力に対する強硬な手法で注目されるようになる。反対派から解職請求が行われた結果、2012年にリコールが成立した。その後、再選挙では全米の保守派の富裕層からの支持で再選された。この選挙は「ウィスコンシンでのカネの力対市民の力の戦い」 (Money Power or Citizen Power)といわれ全米の注目を集めた。
2012年における大統領選挙では、ウィスコンシン州選出の下院議員であるポール・ライアン(Paul Ryan)が共和党の副大統領候補としてミット・ロムニー(Mitt Romney)大統領候補から指名された経緯がある。ロムニーはマサチューセッツ(Massachusetts)州知事をつとめ、オバマ政権の医療保険制度導入を批判してきた。これがオバマケアである。
ウィスコンシンは伝統的に民主党と共和党が拮抗する州である。南北戦争の頃のウィスコンシン州は共和党を支持する州だった。もっとも、共和党が生まれたのはウィスコンシン州である。1945年以後は共和党と民主党がしのぎを削っている。2008年の大統領選挙では州民はイリノイ州(Illinois)選出の民主党候補のバラク・オバマ(Barack Obama)を支持した。
また長い大統領選挙運動が始まり、市民の会話にのぼってきた。「暑くて長い夏」がやってくる。