ウィスコンシンで会った人々 その6 病院や学校や図書館を明るく

最近、「ポルトガル、ポルトの訪ね歩き」という番組で子供病院のことが紹介された。そこに病院の廊下や待合室、病室にタイルを貼ってきたという職工が登場した。タイルを組み合わせて動物園、植物園、公園などが描いてきたのだという。この職工は修理にやってきたようだ。

タイル画についてインタビューに答える患者の付き添いらしき人が、こぞって「病院内が明るく楽しい雰囲気となった」という。大人だけでなく、子供の情動をも高揚させるようでだ。むべなるかなと思うのである。真っ白な壁で囲まれ清潔な内部に接すると、「果たしてこの病院では病気は治るだろうか」と自問する患者が多いのではないか。病気は体や心、感情が一体となっている。不安を持たせてはいけない配慮が大事だと思うのである。

わが国の学校のことだ。冬は寒く夏は暑い。廊下には雑巾がづらりと並び、弁当箱の袋などがぶらさがっている。まるで刑務所かどこかのような雰囲気がある。画一的な造りで、子どもをワクワクさせるような設計とはなっていない。トイレも相変わらず和式で薄暗く匂いが漂う。もう少し明るく楽しさを醸し出すような雰囲気を出せないものか。もっとも大分改善はされ明るくはなってきている。

図書館もそうである。時々親子連れがやってくる。背負った乳飲み子が泣きじゃくり館内に響く。母親はいそいそと閲覧室からでて赤ん坊をなだめている。どうして公共の図書館には授乳室や遊戯室がないのか。親子連れには不親切で配慮が足りない。幼い子供を連れた母親や父親は、図書館で育児をしばらく離れてゆっくり、読書をしたいのではないか。若い親と小さな子供の図書館離れは不幸なことだ。図書館は本を借りる場所だけではない。子供を育てるところなのだ。

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