国政選挙の予測 その七 地域の人口動態

 各地の過疎地域は、山間部や離島などを中心に日本全国に広がっています。全国の市町村の約半数が過疎の問題を抱えており、日本面積で言えば、国土全体の6割弱の割合となっています。人口の減少とともに、税収が減少し行政サービスの廃止や有料化が起こります。人口が減少し過疎化が進むと、必要な人口規模を確保できなくなり、金融機関や病院、飲食店、小売店などのサービスが縮小や撤退につながる可能性が起こっています。

廃校

 それにもまして、気掛かりなことは、コミュニティが希薄化することです。人が少なくなると消費需要が減少し、地元の商店や飲食店も廃業に追い込まれる場合も見られます。商店街がなくなれば、買い物の利便性が低下するだけでなく、住民同士の交流の場も失われてしまいます。

 さらに、地方から流出した人口が都市部へと集中することで、都市部の「過密化」が進みます。都市部は、地方からの労働人口が増え、政党の岩盤層と呼ばれる者の票と若年層を中心とする浮動票とに分かれると思われます。高齢者は概して、保守政党の大事な基盤ですが、若年層はどのような将来設計を立てれるかによってどの政党を選ぶか、あるいは政治に無関心になり投票率が下がることが予想されます。

寂しい商店街

 若年層が都会にやってくると、まずは仕事探しで苦労します。多くの場合、非正規雇用者として仕事に従事しがちです。働く機会がないため非正規労働に就いているのです。賃金が低く、社会保障や福利厚生面で不利な立場にあるため、生活安定や将来への不安が高まります。家を待つとか結婚するなどの夢は大分先のこととなります。企業にとってみれば、非正規雇用者を雇う場合、安い賃金で雇用できますが、人材育成が進まない、業務が限られる、そして従業員が定着しないという課題に直面します。

 デフレといった一種の社会不安が続くならば、有権者の投票行動へも影響します。ましてや裏金事件や裏公認料の配布などによる政治不信が高まるときは、人口動態の如何に関わらず選挙結果に影響すると予想されます。
(投稿日時 2024年10月26日)