国政選挙の予測 その六 経済や景気動向

 内閣府のサイトによりますと、今や日本経済は、緩やかなデフレの状態にあると報道されています。そのデフレの要因は、(1)安い輸入品の増大などの供給面の構造要因、(2)景気の弱さからくる需要要因、(3)銀行の金融仲介機能低下による金融要因、の3つがあげられるというのです。私なりに以上の3つの要因は次のように解釈してみます。

 第一の「安い輸入品の増大などの供給面の構造要因」とは、安い輸入品の増大によって、国内の原料を使った製品の製造価格が上がり、そのため価格も高くなり売れないということです。ブランド品とかは高くても売れますが、一般の消費者にとっては高値の花ということになります。

 第二の「景気の弱さからくる需要要因」とは、実質賃金の上昇が緩やかなために、消費者はモノやサービスを買え控えに走り、需要が供給よりも低くなる状態のことです。需要が高まらないと生産という供給も滞り、企業は製造を抑制するなどして受益が下がるのです。

物価上昇率

 第三の「銀行の金融仲介機能低下による金融要因」とは、預金などの資金を借り手や企業に貸し出すことで、資金の流れを仲介する役割です。こうした金融仲介機能を発揮することで、お金を経済の血液として循環させ、地域や経済を活性化することができるのです。しかし、モノを供給する企業の内部留保が増え、銀行の企業への融資などの金融仲介機能が振るわないために、経済の好循環が滞るのです。銀行には、質の高い金融商品とかサービスを提供するといった積極的な金融仲介業務が期待されているようです。

 AIによりますと、日本経済の景気回復は、2024年度後半から2025年度にかけて緩やかに進むと予想されています。実質GDP成長率は2024年度は+0.6%、2024年度は+1.1%、そして消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)は2024年度は+1.9%、2025年度は+1.4%と予想されています。物価値上げの伸びが落ち着くことで、実質賃金がプラスに転じ、個人消費は緩やかに増加すると予想されています。

 新聞などは、AIの予測のように持続的に下落するデフレの状況から潮目が変わってきたとも報道されています。賃金は物価の伸びに追いつかず物価が上がっていても、賃金が上がっていれば大きな問題とはなりません。ですが日本全体で見れば、賃金の上昇率は物価の伸び率を下回っています。物価上昇を考慮に入れた賃金のデータは「実質賃金」と呼ばれています。日経新聞によりますと、2024年4月の実質賃金は前年同月と比べて0.6%減っています。減少は22カ月連続です。このような状況にあっても、消費税増税とか社会保険料の値上げという声が与党や一部の野党から何故でるのかが理解できません。

実質賃金と名目賃金

 現在、与党内では2025年度の基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランス(PB)の黒字化目標が大きな焦点の一つとなっています。つまり、2025年度PB黒字化目標を堅持し、財政規律を維持する財政規律派と、2025年度PB黒字化目標を見直すことで、財政出動の余地を広げることを主張する積極財政派との対立が続いています。この対立を国民はどのように受け止めるかが選挙結果に表れると思われます。
(投稿日時 2024年10月25日)