アメリカ合衆国の州を愛称から巡る その45『ビーバーの州』とオレゴン州

太平洋岸のこの州は、戦前多くの日本人が移住したところです。州の名前と同じ名のついた「オレゴン・トレイル」(Oregon Trail)は、西部開拓時代に先駆者たちを「西へ」と掻き立てる道でした。シミュレーションゲームにも「オレゴン・トレイル(街道)」があります。1846年を舞台にプレイヤーは幌馬車で移動する開拓者のリーダーとなって、西部を目指すという内容です。過酷で危険な旅程で知られる街道を辿り、西部開拓の歴史を学ぶ目的で開発されます。その名のように、オレゴン州 4 つの国立歴史トレイルがあります。

Oregon Trail

州都はセイラム(Salem)で人口最大の都市はポートランド(Portland)です。セイラムといえば、映画「カッコーの巣の上で」(One Flew Over the Cuckoo’s Nest)が撮影されたところです。1960年代の精神病院を舞台に、当時のアメリカの社会体制の中で抗う男の姿を描いたこの映画の荒筋を少し紹介します。刑務所に収監されていた38歳のランドル・マクマーフィー(Randle McMurphy)は刑務所での強制労働を逃れるため、精神疾患を装って精神病棟にやってきます。そこでは看護婦長ラチェッド(Ratched)の厳しい規律のもと、管理された患者たちがいます。マーフィーは、持ち前の社交性を活かして、そんな環境に置かれた患者たちの中に生きる気力を与えていくというストーリーです。主演はジャック・ニコルソン(Jack Nicholson)でした。

アメリカでは珍しく全米で5つの消費税がない州の一つがオレゴン州です。それには、州のさまざまな産業が盛んなことがあげられます。ヘーゼルナッツ(hazelnut)の生産では世界の4大生産地域の1つであり、国内の95%を生産していまう。ワインの生産は禁酒法時代以前に遡り、1970年代には重要な産業となります。2005年には300以上のワイン醸造所を数え その数は国内第3位です。フランスのアルザス(Alsace)やブルゴーニュ(burgundy)地方と気候や土壌が似ていることから、同じような品種のブドウが栽培できるといわれます。南部海岸地域ではクランベリー(cranberry)も栽培されています。

Map of Oregon Trail

広大な森林に恵まれ、国内最大級の製材業と林業があるのがオレゴン州です。豊かな森林資源によって、多くの動物も生息し、その中で知られるのがビーバー(Beaver State)です。州はサケの漁獲では世界最大級である他、海洋漁業も盛んです。1970年代以降、ハイテク開発とサービス業が主要な産業となっています。インテルが幾つかの主要な設を建設し拡張します。ナイキ(Niki)の本社がビーバートン(Beaverton)にあります。

オレゴン州民は1988年以降のアメリカ合衆国大統領選挙で民主党候補者を選んでいます。2004年と2006年には民主党が州上院と下院を制し、カリフォルニア州やワシントン州とならんで、民主党の牙城のような州です。私はこの州を二度訪ねています。一度目は、ユージン(Eugen)にあるオレゴン大学(University of Oregon)の先生にインタビューをしたとき、二度目はポートランド(Portland)でのインテル社(Intel)主催の教育会議に招待されて出席したときです。