アメリカ合衆国の州を愛称から巡る その36 『Live Free or Die』とニューハンプシャー州

ニューハンプシャー州(New Hampshire)は、アメリカ北東部のニューイングランド地域に位置します。面積としては小さい州ですが、河川峡谷や北東部で最も高いワシントン山(Mt. Washington) など多様な地形により、自然のバラエティに富んだ州です。合衆国独立当時の13州の1つで、州のモットーは「自由に生きる、然らずんば死を」(Live Free or Die)」であり、州の標章や自動車のナンバープレートにも表示されています。史跡もあちこちに残っています。今日も独立と自治の精神が強い州として知られています。

Dartmouth College


この州は、合衆国大統領の予備選挙が最初に行われる州で、州での投票結果は大統領選の結果を占うものとして大きく報道されます。そのため、大統領選挙のある年やその前年は、報道番組はニューハンプシャー州の話題でもちきりになります。州都のコンコード(Concord)の人口は5万人に満たず、最大都市のマンチェスター(Manchester)でも10万人ほどです。ニューハンプシャー州の経済を支えているのは観光業、そして乳製品、リンゴなどの農業、コンピュータ製品などの電気機器などとさまざまです。森林資源を利用した木材・家具・紙等、皮革、繊維といった産業も盛んです。ニューハンプシャー州はアメリカで唯一、所得税と消費税がない州です。これが観光業が盛んな理由の1つにもなっています。

University of New Hampshire

代表する大学といえば、まず挙げられるのが1769年創立のダートマス大学(Dartmouth College)です。「アイビーリーグ」(Ivy League) に名を連ね、アメリカ屈指の名門大学です。ダートマス大学は、学士課程の教養学部に加え、医学・工学・経済といった分野のみならず、18分野もの文系・理系の大学院課程を有しています。従ってアメリカでは総合大学(university)なのですが、9つあるアメリカ独立戦争以前に創立された「コロニアル・カレッジ」(Colonial College)の1つであるという伝統を守っています。莫大な基金を所有しており全米でも最も裕福な大学の1つといわれます。

ニューハンプシャー州にあるポーツマス (Portsmouth)の隣街に長男の嫁の親が住んでいたので数回訪ねました。ポーツマスは、合衆国大統領セオドア・ルーズベルト(Theodore Roosevelt)の仲介により、1905年9月5日にポーツマス条約が調印された港街です。日露講和条約とも称されています。条約締結の交渉資料や写真は、市内の図書館で展示されています。