私はアーカンソー(Arkansas)を旅したことがありません。州名は、クアポー族 (Quapaw) の「下流の人々の土地」を意味する「アカカズ(akakaze)に由来するとあります。州の北はミズーリ州(Missouri)に接し、東はテネシー州(Tennessee)とミシシッピ州(Mississippi)に、西はオクラホマ州(Oklahoma)とテキサス州(Texas)に、南はルイジアナ州(Louisiana)に接しています。昔は熊が沢山生息していたことから、『クマの州』(Bear State)と愛称がついたようです。又の愛称は「チャンスの地」(Land of Opportunity)です。
州の人口構成ですが、約80%が白人、約16%が黒人、約7%がヒスパニック、約1%がアジア人となっています。南部にありながら、歴史的にこの地域にはヨーロッパからの白人の入植者が移住したため、今でも白人が多い構成の要因になっているといわれます。もともとはルイジアナを支配していたフランスから購入したのがアーカンソーです。やがて白人の農園経営者がミシシッピ沖積平原に沿ったアーカンソー・デルタ(Arkansas Delta)に入って綿花を栽培していきます。そのためアフリカ人奴隷が最も多い地域となったところです。デルタというのは、ミシッシピー川の低地帯のことで、米作も大規模に行われているといわれます。
州都はリトルロック(Little Rock)で、人種差別撤廃を求めた事件で知られています。リトルロック・ナイン(Little Rock Nine)と呼ばれたアフリカ系アメリカ人生徒を保護するために、連邦政府が1957年9月25日に1,000名の空挺師団を派遣し、9人の生徒を高校に入学するのを護衛するように命じた事件です。合衆国裁判所が人種統合を行うよう命令を出すきかけとなった事件でもあります。そして、1959年秋までにリトルロック市の高校は完全に人種差別を撤廃することになります。これがアメリカ全土での大きな公民権運動を促すリトルロック高校事件です。
アーカンソーはブルース、ジャズ、フォーク音楽発祥の地でもあります。ヘレナ(Helenaにあるデルタ・カルチュラル・センター(Delta Cultural Center)では、地域の歴史が詳しく紹介されています。この地域は、ジョニー・キャッシュやシスター・ロゼッタ・サープなど、全米に知られているミュージシャンの故郷といわれます。