1970年代まで、日本からヨーロッパやアメリカ本土に行くときの経由地はアラスカ(Alaska)のアンカレッジ(Anchorage)でした。給油するためです。私は一度、空港のターミナルの窓から外を眺めただけで本土を踏んだことがありません。アラスカのニックネームは「Last Frontier」(最後の開拓地)といわれます。
映画『アラスカ魂』をご存知でしょうか。この映画の原題は「North to Alaska」といいます。1900年のゴールドラッシュ(Goldrush)の舞台がアラスカです。金鉱権利争奪戦と三度に亘る猛烈な格闘や、三角関係恋の駆け引きが繰り広げられる娯楽映画です。主演はジョン・ウェイン(John Wayne)でした。
1867年にクリミア戦争(Crimean War)の中立国であったアメリカは、ロシア帝国から1平方kmあたり5ドルという価格でアラスカを購入します。この交渉をまとめたのは国務長官であったウィリアム・スワード(William Sward)です。この取引でスワードは当時のアメリカ国民から「スワードの愚行」「巨大な冷蔵庫を買った男」などと非難されたとか。その後金や石油などの豊かな資源が発見され、さらに国防上重要な地帯となりアラスカの購入は高い評価を受けます。1959年、アメリカの49番目の州に昇格します。