この稿をもちまして、「ナンバープレートを通してのアメリカの州」の紹介は終わりです。ご笑覧やコメントをありがとうございます。
ヴァージン諸島(Virgin Islands of the United States)は、西インド諸島にあるアメリカ合衆国の自治領です。40位の島々はほとんどが無人島です。住民がおり、一般の観光客が訪れる主要な島はセント・トーマス島(Saint Thomas)、セント・クロイ島(Saint Croix)、セント・ジョン島(Saint John)の3島で、主都はセント・トーマス島のシャーロット・アマリー(Charlotte Amalie)となっています。シャーロット・アマリーは、デンマークの王妃の名前にちなみます。なおヴァージン諸島の東側はイギリス領ヴァージン諸島となっています。
1493年11月、クリストファー・コロンブスは最初にセント・クロイ島に到達し、サンタ・クルース(Saint Crus)と名付けて上陸します。その後、セント・トーマス島、セント・ジョン島と命名していきます。1625年には、イギリス、フランス、オランダ、スペイン、デンマークがセント・クロイ島に入植し農業を始めます。しかし、収穫は少なく、病気と過酷な奴隷制度により、わずかなカリブ族(Caribbean)しか生き残らなかったという記録があります。
1733年にデンマークはフランスよりセント・クロイ島を買収し領有権を得ます。その後、デンマーク領西インド諸島 (Dansk Vestindien) と称し、デンマーク国王に任命された総督によって統治される体制となります。その後、1764年に自由港として公認され、西インド諸島における交易の中心地として栄えます。
デンマーク統治下の各島では、インディアン奴隷がいなくなったため、アフリカ人奴隷が初めて島に連れて来られます。デンマーク統治下の各島では、こうした奴隷を使ってサトウキビとタバコ農園が経営されます。後にコーヒーや砂糖も生産されるようになります。
やがてデンマークは、植民地としての関心を失い、20世紀初頭にアメリカ合衆国が買収します。すなわち、第一次世界大戦が勃発すると、合衆国はパナマ運河をドイツ軍から防衛するためにこの地を求め、1917年にデンマークから 2,500 万ドルで購入します。それにより、島民は合衆国の市民権と自治政府、投票権を得ます。しかし未編入領域であるため、現在もアメリカ領ヴァージン諸島の人々は合衆国の大統領には投票できません。