プレートには「Taxation without Representation」とあります。このフレーズですが、ワシントンD.C.は他の州とは違って、住民には連邦上院や下院への議員を選ぶ権利がありません。にも関わらず高い住民税を払っています。これまで何度も議会に抗議したり訴訟を起こして、選挙権の獲得運動がありました。しかしいまだに実現していません。そこでD.C.はナンバープレートに抗議のフレーズを入れているのです。「税金払えど選挙権なし」という意味が込められています。他の州には、このような主張を込めたものは見当たりません。興味あるナンバープレートです。
ワシントンD.C.は計画都市です。1791年に都市建設計画のコンペに当選し、基本計画案を作成したのはピエール・シャルル・ランファン(Pierre Charles L’Enfant)というフランス生まれの建築家・技師です。ランファンはバロック様式を基に基本計画を作成しし、環状交差路から放射状に広い街路が伸びて、開かれた空間と景観作りを最大限に重視したといわれます。
ヴァジニア州やメリーランド州などと隣接するこの街は世界の政治の中心の一つです。国権の最高機関である大統領府(White House)、連邦議会議事堂(Capitol)、連邦最高裁判所(Supreme Court)や中央官庁などの行政機関が集まるほか、国立公文書館、日本銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)、世界銀行(WB)や国際通貨基金(IMF)の本部、各国の大使館などが置かれています。
街の中心はナショナル・モール(National Mall)と呼ばれています。モールの中心にはワシントン記念塔があります。モールの両端にはリンカーン記念館と連邦議会議事堂が鎮座しています。スミソニアン協会(Smithsonian Institution) が運営する多くの博物館や美術館がモール内にあります。どれも質・量ともに世界一であります。加えて、多くの国立記念建造物や碑が建てられています。例えば、第二次世界大戦記念碑、朝鮮戦争戦没者慰霊碑、硫黄島記念碑、ベトナム戦争戦没者慰霊碑、アルバート・アインシュタイン記念碑など数えられないほどです。
スミソニアンの博物館の中でも最も来場者が多いのが国立自然史博物館といわれます。子ども達に人気なのが国立航空宇宙博物館でしょう。いつも家族連れや団体で一杯です。。このほかに国立アメリカ歴史博物館、国立アメリカ・インディアン博物館、国立アフリカ美術館、ハーシュホーン博物館と彫刻の庭、芸術産業館などです。是非訪ねていただきたいのはユダヤ人の虐待とその歴史を遺品や写真などで紹介するホロコスト博物館です。どの館も安い入場料あるいは無料で見学できます。午前と午後に一つずつ見学しても一週間はゆうにかかります。
モールのすぐ南にタイダル・ベイスン(Tidal Basin)という池があります。ここにはかって日本から贈られた桜並木があります。3月末は花見客で一杯となる合衆国で有数の桜の名所となっています。今年の桜のピークは4月1日と予想されています。日本とアメリカの友好の歴史を物語る場所でもあります。