ペンシルベニア州(Pennsylvania)の名前の由来から始めます。この地にイギリスからやってきた商人でクエーカー教徒(Quaker)であったWilliam Pennという人がいました。やがて貿易などで成功したPennにイギリスは領地を分け与えます。そして植民地とします。ペンシルベニアには豊かな森が広がります。ラテン語で森を意味する「Sylvania」にPennをつけたというわけです。
その後、ペンシルベニアは開拓されて植民地化されていきますが、Pennらはその地の自治を求めて自由憲章の草稿を書き、イギリスからの独立を目指していきます。信教の自由、公正な裁判、主権を持つ人民により選ばれた代表、三権分立などの精神を訴えます。こうした考えは、後にアメリカ合衆国憲法の基本になる考えとなります。
ペンシルベニア州は北東部の州と南部の州、大西洋岸と中西部を結ぶ地点にあることから、キーストーン・ステート(Keystone State)「礎石の州」とも呼ばれます。エリーやオンタリオ湖に面し、北はカナダとニューヨーク州に接し、東はニュージャージーにつながっています。形は横長の州です。
州都はハリスバーグ(Harrisburg)。州の西には重要な河港を持つピッツバーグ市(Pittsburgh)、東には自由の鐘や独立記念館で有名なフィラデルフィア市(Philadelphia)があります。フィラデルフィアは独立後、1790年から1800年まで連邦政府の首都となります。南北戦争の激戦地でリンカーン大統領(Abraham Lincoln)の演説で有名はゲティスバーグ(Gettysburg)など史跡が多い州でもあります。ピッツバーグ一帯や東部のベツレヘム(Bethlehem)一帯には多くの製鉄都市があり、鉄鋼、機械、化学、繊維、食品などの製造業が発達しています。製鉄を支えるのはアパラチア(Appalachia)炭田で、全米の無煙炭の大部分を産出しています。
教育研究の中心は、カーネギーメロン大学(Carnegie Mellon University)、ペンシルベニア州立大学(Pennsylvania State University)、アイビーリーグ(Ivy League) の一つペンシルベニア大学などです。ペンシルベニア大学は1765年にアメリカで最初の医学部を設置します。今も医学や公衆衛生の分野でアメリカの開拓者的存在として知られています。日本でも人気のあるフィラデルフィア管弦楽団(Philadelphia Orchestra) はこの州にあります。