かつてウィスコンシン大学(University of Wisconsin-Madison)で研究していたとき、メモリアルホール(Memorial Hall)という学生会館の片隅で中国系か韓国系の院生が碁盤を囲んで対局していたのを覚えています。私は貧乏院生でしたので、碁を勉強するゆとりと時間はありませんでした。碁を学ぶ機会を失ったのですが、学位はなんとか貰い帰国して、国立特別支援教育総合研究所に職を見つけることができました。このとき、かつての宣教師でスタンフォード(Stanford)日本人会の会員の紹介で研究職を見つけられたことは幸運でした。
—–【呼吸点】——–
碁で大事なことは、「石の強弱の見分け方」といわれます。それを示すのが呼吸点がいくつあるかです。呼吸点とは、ある石に隣接した空点のこと、又は逃げ道のことです。逃げ道の少ない石や、眼のない石のことを弱い石と呼びます。反対に呼吸点の多い石や二眼以上ある石は強い石となります。
ただ、呼吸点よりも大事なのが「根拠」とか「眼」です。囲まれた石には逃げ道はありません。呼吸点が塞がれた状態です。周りが強くなるとその中で生きることを考えなければなりません。このような状況では、形勢はただならぬと考えられます。