前回、八王子囲碁連盟(八碁連)の前身は、「八王子の碁を楽しむ老人連合」(碁老連)であることを申しあげました。碁老連ニュース第1号は、ガリを切り謄写版で刷っていたのです。ガリを切りは、結構職人がたきのような技能を要します。力を入れすぎると原紙が切れたりするのです。特に線を引くときは注意がいります。印刷ではインキのつけ具合が大事です。しばしば手が汚れたことを思い出します。
ガリ版が姿を消したのはワープロ専用機の登場です。昭和60年に日本語ワープロ専用機の先駆け的存在である「Rupo 」がでます。その後、「書院」「OASYS」「文豪」と続き、文書作りが一段と楽になります。
碁老連を形成した頃の寿同好会の会員は有段者で、163名の会員数となっています。初心者や級位者は入会できなかったようです。ちなみに現在の八碁連の会員数は303名で級位者も含めた数です。碁老連の運営は、8つの寿同好会からの「上納金」や「寄付金」を充てるとあります。上納金とは面白い表現です。活動はもっぱら同好会の対抗囲碁大会、名人・王座・天狗戦大会の開催が中心だったようです。当時、初心者の育成とか子どもへの囲碁の啓蒙や普及活動などは視野に入っていません。
—–【白黒】——–
碁石の大きさは、黒石が直径22.2ミリ、白石は21.8ミリです。錯覚で白い色は膨張して見えるので、同じ大きさで作ると白い碁石のほうが大きく見えてしまいます。見た目で同じ大きさに感じるよう、若干白石を小さくしています。対局のために、碁笥には黒石の数は181個、白石は180個が用意されます。
物事には白と黒、表と裏、陰と陽があります。物事の是非・真偽・善悪などを決めるのが「白黒つける」です。その語源は、囲碁の碁石から由来します。物事をはっきりさせることです。人間の心理とし、「負ける・弱い」ことよりも「勝つ・強い」ことを前提にしがちです。ですから「黒白をつける」とはいいません。
犯罪捜査や裁判のときも、白、黒が使われます。「事件の真相に白黒つける」という表現です。黒は否定的、白を肯定的と捉えられる傾向があります。黒という色は、高級、強さや権威、神秘的な雰囲気を感じさせる色です。高級車は黒、「偉い人」の背広や靴は黒です。ですが黒は他の色に比べて負のイメージが潜在的にあります。ちなみに英語の表記では「Black and White」が一般的です。