懐かしのキネマ その116 【地下室のメロディ】

フランス映画界の二大スター、アラン・ドロン(Alain Delon)とジャン・ギャバン(Jean Gabin)が共演し、カジノ襲撃計画の顛末をスリリングに描いた犯罪サスペンスの名作です。英語の題名は【 Baseball Melody】。フランス映画はこうしたサウスペンスものの名作があります。後に紹介する「太陽がいっぱい」もそうです。

Charles & Francis

5年の刑期を終えて出所した老獪なギャングのシャルル(Charles)は、生涯最後の仕事として、カンヌ(Cannes)のパームビーチ(Palm Beach)にあるカジノの地下金庫から10億フランを強奪する綿密な計画を立てます。かつての仲間マリオ(Mario)や刑務所で知り合った青年フランシス(Francis)と彼の義兄ルイ(Louis)も仲間に引き入れ、周到な準備の末に計画を実行に移します。

金持ちの青年を装い、カンヌのホテルに滞在するのがフランシスです。カジノの踊り子と親しくなることで、フランシスは一般客が立ち入れないカジノの舞台裏に出入りする口実を設けます。カジノのオーナーが売上金を運び出す日を狙って、一行は地下金庫を襲撃します。そして10億フランの札束をバッグに詰め、何食わぬ顔でホテルに戻ります。大金を奪い去り完全犯罪は成功したかにみえますが、予想外の事態からフランシスの正体が露見する危険性が高まります。

計画の急な変更を余儀なくされ、フランシスは仕方なく、隠し場所からバッグを持ち出します。そこへ更なる不運が重なり、盗んだ金が人々の目に触れる事態となります。騒ぎ出す人々の中でフランシスとシャルルは、もはや為す術もなく10億フランの札束が水面に浮かぶのを見つめていきます。