懐かしのキネマ その109 【ホロコーストの罪人】

原題は『Betrayed』です。珍しいノルウェー(Norway)で製作された作品です。ノルウェー秘密国家警察がホロコースト(Holocaust)に加担した実話を題材にしたドラマです。ナチス・ドイツ(Nazis)に協力するノルウェー秘密国家警察によって運命を狂わされていくユダヤ人一家の姿を描いた作品です。ホロコーストはナチス・ドイツで引き起こされただけではないことが分かっています。

第2次世界大戦下のノルウェー。ユダヤ人のブラウデ家(Braude)は、ボクサー(boxer)で息子のチャールズ(Charles)が結婚し幸せをかみしめていました。しかし、大戦が勃発しナチス・ドイツが中立を宣言していたノルウェーに侵攻してきます。

チャールズを始めユダヤ人男性はベルグ(Berg)強制収容所へ連行され過酷な労働を強いられます。残された母とチャールズの妻は、チャールズの帰りを待ちながらも、身の危険を感じてスウェーデンへ逃亡しよう動き出します。1942年11月、ノルウェー秘密国家警察はアーリア系(Aryan)ノルウェー人やドイツ人などと結婚している人を除くすべてのユダヤ人をオスロ(Oslo)の埠頭へと移送します。全部で776名です。停泊していたのは、アウシュヴィッツ(Auschwitz)強制収容所のあるポーランド行きの「ドナウ号」(Donau)という秘密警察の貨物船です。

一行はアウシュビッツの強制収容所へ連行されます。到着したその日にガス室送りになった人たちも少なくなく、この時送られた776名中、生存できたのはわずか38名といわれます。