懐かしのキネマ その89 【理由なき反抗】

親の子に対する無理解や無関心といったテーマ性が多くの共感を呼んだのが【理由なき反抗】という映画です。大人や社会に対しての不満のはけ口を探していた当時の若者の姿を描いた作品です。

親の都合でロスアンジェルス(Los Angels) に引っ越してきた17歳の少年ジム(Jim Stark)は、真夜中に路上で泥酔していたところを警察に連行されます。彼は、そこで夜間外出で保護を受けた少女ジュディ(Judy)や、仔犬を撃ち殺したといって連れてこられたプレイトウ少年(Plato)と知り合います。3人はそれぞれ説諭され帰宅を許されます。 ジムの一家は転居続きで、つい最近この街へ来たばかりでした。彼の父親は意志薄弱で、家庭は気の強い母親がとり仕切っています。

Plato, Jim & Judy

翌朝、新しい学校であるドーソン・ハイスクール (Dawson High School)へ登校の途中、ジムはジュディに会います、彼女は不良学生のバズ(Buzz)、ムーズ(Moose)、クランチ(Crunch)らと一緒でした。その日の午後、学校の校外学習でプラネタリウムに出掛けたのですが、不良仲間に目をつけられたジムは彼らのリーダーのバズに喧嘩を売られるのです。2人はプラネタリウムの建物の外でナイフを手に喧嘩を始めますが守衛に見つかり止められたため、その夜チキン・ラン(Chickie Run)と呼ばれる度胸試しをすることになります。

崖の周りに少年たちが集まり、ジムとバズは、盗んだ中古自動車に乗って崖に向かってフル・スピードで車を走らせる命がけのチキン・ランが始まります。ジュディやバズの不良仲間が見守る中、ジムは巧く落ちる直前に車から脱出しますが、飛び出しそこねたバズは、自動車ごとそのまま谷底へ落ちていきます。呆然自失となったジムはプレイトウとジュディとともに家へ戻ります。 ジムは警察へ届けようとしますが、両親は激しく反対します。

両親を振り切って警察に出向いたジムは、少年保護係レイ(Ray)の不在を知り、警察を出て、ジュディを連れ秘かにプレイトウに教えてもらった空き家へ行きます。ムーズとクランチはジムが警察に届けるのを恐れ、プレイトウを脅してジムの居所を知ります。プレイトウはジムに警告するため、父親の拳銃を持って家を飛び出していきます。プレイトウも空き家に着ます。プレイトウを1室に残し、ジムとジュディとは空き家の別室で激しい抱擁を重ねます。

やがてジムを追うムーズたちが空き家を見つけます。一人で残されたプレイトウが見つかり追い回されます。 信頼しかけたジムとジュディに一人にされ、見放されたと思い込んだプレイトウはパニックに陥り、家から持ち出した拳銃を追手に放ち、クランチを撃ちます。間もなく空き家についた灯りに巡回中の警官が気付き、ジムの家族やプレイトウのメイド、少年保護係のレイも駈けつけます。ジムとジュディは近くのプラネタリウムに駈け込んだプレイトウを制止しようとします。

半狂乱のプレイトウはジムに拳銃を向け、警官に射殺されるのです。ジムの両親は死体に寄りすがって泣き叫ぶ我が子を慰め、この悲劇によってお互いを理解し合うのです。