懐かしのキネマ その83 【追想】

1956年制作の歴史ドラマ映画です。ロシア帝国(Russian Czar)のアナスタシア皇女(Anastasia Romanov)が実は生存しているという伝説を下敷きにして作られた映画で原題は【Anastasia】となっています。

Anastasia Romanov

10代の若き皇女アナスタシアを含めて、ロシア皇帝ニコライ2世(Tsar Nicholas II) の一家が十月革命(Russian Revolution)の後に赤軍のボリシェヴィキ(Bolsheviks) によって殺害されたと推測されてから10年が経過します。ロシア革命で反ボリシェヴィキである白軍(White Russian) の将軍ボーニン (General Bounine)はニコライ2世が4人の娘のためにイングランド銀行(Bank of England)に預金した1000万ポンドのロマノフ家の遺産に目をつけます。ボーニンは街で出会った記憶喪失(amnesia)の女性アンナ・ニコル(Anna Nicholas)を、生存が噂されるアナスタシア皇女に見立てて遺産を手に入れようと、彼女に各種のレッスンを施して「本物」らしく仕立てます。

デンマーク(Denmark)で甥のポール公(Prince Paul) と余生を過ごす皇太后フェドロヴァナ(Empress Marie Feodorovna)は、アンナと涙の対面をします。ふとした妙な咳から皇太后は彼女が本物のアナスタシアであることに気付いたのです。資産目当てでボーニンに協力するポール公とアンナの数週間後の婚約発表も決まるのですが、ボーニンのアンナへの想いも「本物」になってしまい、二人が愛し合うという誤算が生じてしまいます。

ポール公とアンナの婚約発表当日、披露の場にボーニンとアンナの姿はありません。孫娘が行方不明となる事態に、全てを承知していた皇太后は「芝居は終わった。家にお帰りください」と招待客に告げるためにポール公を伴って会場に向かうのです。