懐かしのキネマ その80 【アパートの鍵貸します】

ビリー・ワイルダー(Billy Wilder)監督・脚本による都会派コメディの代表作が【The Apartment】です。主演のジャック・レモン(Jack Lemmon)は、アメリカ映画界最高の喜劇俳優といわれています。共演したのは、シャーリー・マクレーン(Shirley MacLaine)です。

1959年12月、あるニューヨークの大きな保険会社の19階の大部屋でC.C.バクスター(Bud” Baxter)、通称バドは勤めています。勤続3年と10ヶ月、礼儀正しく、数字に強く、だが、押しには弱い彼の週給は94ドル70セントでした。家賃月額85ドルの独身向けアパートに住む彼には一つの秘密がありました。それは、不倫の密会をする情事の場所として自分の部屋を会社の上司4人に又貸ししていたのです。バドは、出世の足掛かりを求めて部屋を貸し、そのため毎夜遅く帰る生活をしています。ある日、シェルドレイク(Sheldrake)人事部長に呼び出され、彼にも部屋を貸すことになります。課長補佐に昇進したバドは会社のエレベーター係のフラン(Fran Kubelik)をデートに誘うのですが、実は彼女はシェルドレイクの愛人でした。、バドはフランとのデートの約束をすっぽかしてしまいます。

会社でのクリスマス・イブのパーティで、フランはシェルドレイクの秘書・オルセン(Miss Olsen)から彼の女性遍歴を聞いて落ち込みます。また、バドはふとしたことからフランがシェルドレイクの愛人であることに気付き、ショックを受けます。シェルドレイクに部屋を貸したバドはバーで閉店まで時間をつぶすのです。シェルドレイクと別れ話になったフランは、彼が帰ったあと睡眠薬自殺を図ります。帰宅したバドは倒れているフランを見つけると、隣の部屋のドレイファス医師(Dr. Dreyfuss) を呼んで介抱します。翌日、フランの看病のため、会社を休んだバドですが、フランを迎えに来た義兄のカール(Karl) にバドがフランの自殺未遂の原因だと誤解されて殴られる始末です。

Bud and Fran

翌日、出社したバドは、シェルドレイクにフランを引き取ると持ち掛けようとします。シェルドレイクは解雇したオルセンに女性関係をばらされて離婚することになったと打ち明け、バドを部長補佐に昇進させるのです。大晦日、スポーツクラブに泊まっていたシェルドレイクはフランと過ごすため、バドにアパートの鍵を要求しますが、バドは要求をはねつけて会社を退職し、アパートから引っ越す準備を始めます。

レストランでの新年パーティでフランは、シェルドレイクからバドが会社を辞めたと聞き、彼の気持ちにようやく気付くと、彼のアパートに急ぎます。一人でシャンパンを開けていたバドのもとにフランがやってきます。そこで、バドはフランに愛を告白するのです。フランはそれに答えず、バドにトランプを配り、カードゲームに誘うという結末です。