原題は「Left Behind」。新訳聖書「ペテロの手紙」(First Epistle of Peter)に「万物の終わりが近づきました。ですから、祈りのために心を整え身を慎みなさい」という聖句があります。「Left Behind」とは「取り残される者」という意味です。【レフト・ビハインド】という映画は、万物の終わりが近づいたという「終末」にまつわる預言が描かれた作品です。
映画は、何の前触れもなく、世界各国で数百万もの人々が消失するという異常事態が発生することで幕が上がります。各種通信網やエネルギー網などのシステムはダウンします。さらに消失を逃れた人々は不安に駆られて混乱し、一部は暴徒化してしまいます。
パイロットのレイフォード(Rayford Steele) が操縦するジャンボジェット機内でも同様の消失現象が起きます。副機長のクリス・スミス(Chris Smith)、客室乗務員のキミー(Kimmy)、そして搭乗していた子どもたち全員が、着ていた衣服を残したまま姿を消します。消失しなかった乗客たちはパニックになって、なぜこんな現象が起きたのかと騒ぎ立てます。
レイフォードは自分が知る情報はすべて乗客に伝えると何度も言います。彼は地上と無線や携帯電話で連絡を取ろうとしますが、つながりません。ようやく連絡がついたときには、世界中で消失現象が起き、そのためにパニックが起きていることを知らされます。その後すぐに、パイロットが消失したジェット機がレイフォードの飛行機の飛行経路に近づいてきます。レイフォードはかろうじて上空での正面衝突を避けますが、エンジンにダメージを受け、燃料の流失が始まります。レイフォードはニューヨークへ引き返す決断を下します。
地上では、レイフォードの娘、クローイ(Chloe Steele)が父親の救難要請を携帯電話で聞き、飛行機が墜落してしまったと思ってしまいます。その後、クローイは親交のあるブルース・バーンズ牧師(Rev Bruce Barnes)に会うために、ニュー・ホープ教会(New Hope Church) へと向かいます。バーンズ牧師は神が自らを信じる者を天国へ導き、残された者たちは終末の日を迎えることになると主張する牧師でした。バーンズ牧師は「自分が説教する内容を本気で信じていなかったために、自分は取り残されてしまった。」とクローイに告白します。
その頃、副機長と客室乗務員が残した所持品を調べていたレイフォードもバーンズ牧師と同じ結論に至ります。レイフォードは、客室乗務員のハティー (Hattie Durham) に妻アイリーン(Irene Steele)が熱心なキリスト教の信者になってしまったことを打ち明けます。レイフォードは、ハティーと情を交わしていたのです。その話を聞いたハティーは、レイフォードが結婚している事実すら知らなかったために激怒します。しかし、やがて落ち着きを取り戻したハティーは、無事着陸できるまで乗客をなだめて落ち着かせようと努力します。
クローイは自殺しようとします。そこに飛行機の乗り合わせていた記者のバック(Buck William)から電話がはいります。レイフォードは、クローイに、すべてのニューヨーク付近の空港は閉ざされ,道路も車で一杯であること、燃料が尽き始めていることを伝えます。クローイは捨てられているトラックを使い、建設中の道路の資材を取り除き、一時しのぎの滑走路にしようとします。コンパスのアプリを使い、着陸地を指示します。レイフォードはなんとか道路に着陸し、乗客を救うのです。辺り一面火の海が広がります。バックは「これはまさに世界の終わりだ、、」とつぶやくのですが、クローイは「これが世界の始まりなのだ、、」と答えるのです。