懐かしのキネマ その63 【ジャイアンツ】

原題は「Giant」。テキサス(Texas) に広大な土地を持つ牧場主ジョーダン・ベネディクト2世(Jordan Benedict Jr)が、東部の名門の娘レズリー(Leslie Lynnton)を妻に迎えます。初めてのテキサスに彼女はその途方もない広さに驚き、東部とはあまりにも異なる人間の気質と生活習慣に戸惑います。夫の姉ラズ(Luz)の冷たい視線にも苦しめられますが、レズリーは持ち前の粘り強い性格でそれを乗り越えていきます。

このレズリーに密かに心を寄せるのが、ひねくれる若い牧童のジェット・リンク(Jett Rink)です。彼は自分に対する唯一の理解者であったラズがレズリーの持ち馬から落ちて亡くなり、遺言で土地の一部を残してくれたことを知ります。ジョーダンは自家の農地が分割されることを嫌い、相場の2倍でその権利を買い取ることを申し出ますが、ジェットは断り自分の土地に賭けてみるのです。

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ジェットはテキサスに油田ブームが到来したことを知り、自分の土地でも石油が出ると信じ、土地を抵当に石油の採掘を始めます。資金が底を尽きかけたときついに油田を掘り当て、吹き出した原油を全身に浴びた姿で、泥酔してベネディクト家に乗り込みます。そしてレズリーに馴れ馴れしい態度を示すジェットは、ジョーダンに殴られます。ジェットは彼を殴り返し、そのままトラックで立ち去ります。

歳月は経過し、米国でも屈指の大富豪になったジェットは、私財を投じて病院建設などの慈善事業を展開し名士の仲間入りを果たします。ジョーダンは本業の牧畜業がうまくいかなくなり、自分も石油事業に乗り出し巨万の富を得ますが、成り上がり者ジェットの成功を苦々しく思っています。やがてジェットは巨大なホテルを建設し、その祝賀パーティにベネディクト一家を招待します。ジェットの富に張り合うためジョーダンはダグラスDC機を購入しパーティ会場に一家で乗り込むのです。しかしながら祝賀パレードで娘のラズ2世が、自分に断りもなしにジェットをたたえる王女役でオープンカーに乗っているのを見て不機嫌になります。ホテルで息子のジョーダン3世のメキシコ人の新婦が人種差別を受けたこと発端として、ホテルの祝賀パーティの席で両者は対決の時を迎えます。

パーティの帰り、自家用車でジョーダンがふと立ち寄った白人のテキサス男が経営するレストランで、経営者がメキシコ人を差別して追い出そうとする場面に遭遇し、意見をしたことから両者は殴り合いのけんかとなります。大男同士の激しい殴り合いの結果、ジョーダンは打ちのめされてしまいます。帰宅後、ジョーダンはソファでレズリーの膝枕で横になり、レズリーは彼の行動をほめるのです。そして白人の孫とメキシコ人との混血の孫を満足げに眺めるのです。