懐かしのキネマ その21 荒野の用心棒

セルジオ・レオーネ(Sergio Leone)監督の元祖マカロニ・ウエスタンが「荒野の用心棒」です。黒澤明の傑作「用心棒」に着想を得て製作した作品です。テレビ西部劇「ローハイド」(Rawhide) で人気が出ていたクリント・イーストウッド(Clint Eastwood) は、本作の成功で映画スターとしてブレイクします。その後、「夕陽のガンマン」、「続・夕陽のガンマン」の2作で主演し、俳優としての地位を確立していきます。

アメリカとメキシコ国境にある小さな町サン・ミゲル(San Miguel).に、葉巻をくわえ薄汚いポンチョをまとった流れ者のガンマン・ジョーが(Gunman Joe) 現れれます。ジョーは酒場のおやじから、この街では二人の保安官の2大勢力が常に縄張り争いをしていること、今やサン・ミゲルの街は荒廃しきっていて、その挙げく儲かっているのは棺桶屋だけだと聞かされるのです。ジョーはからんできたゴロツキ4人をたった1人で早撃ちで瞬殺し、スゴ腕ぶりを見せつけます。そして用心棒として雇われるのです。そして、両陣営を争わせ共倒れさせようと密かに計略をめぐらします。

マカロニ・ウエスタンの人気は、アメリカにおける大ヒットから生まれます。暴力的なシーンを多用した乾いた作風や激しいガン・ファイト(Gun fight)が、それまでのアメリカで西部劇の価値観を大きく変えたと言われています。「映画は娯楽」を徹底的に追求した新しい映画のジャンルといえましょう。