北京と上海にそれぞれ一度行きました。同窓生である留学生のSHさんを頼っての研修旅行です。こうしたコネクションによって、旅は円滑につつがなく進むものです。留学生は富山大学を卒業後、兵庫教育大学院を修了し、広島大学院博士課程を終えた異色の中国人です。今は成都市の大学で教えています。
SHさんですが留学中はあちこちで中国語を教え、生計を支えていました。ご家族とで兵庫県の加西市に住んでいました。中国人の奥様はアパレル関連の会社に入り、社長の秘書として頻繁に北京や上海を行き来していました。ご子息は加西市の小学校に入り、その優秀さは抜きんでていたようです。
北京にいきますとSHさんが空港に迎えにきてくれました。ミニバンをチャーターしてくれてホテルに向かいましたSHさんのお父さんは、かつては中国政府の経済担当の上級公務員であったようです。高度経済成長の最中、日本にたびたびやってきては日本の経済成長の姿を調べていたというのです。鉄鋼会社やその工場をまわり経営の実態をつぶさに視察したそうです。
SHさんのお父さんが我々一行を夕食会に招待してくださいました。紹興酒を何度も酌み交わしました。北京ダックも食卓に並びました。今は引退されて年金で悠々自適の生活を送っていると話されていました。日本での調査のことについてもエピソードを語ってくれました。
翌日、ミニバンに乗って万里の長城へ向かいました。到着すると警察が車を一台一台調べているのです。許可をもらって万里の長城に来たかを調べているのです。そこに日本人学生を乗せた別のミニバンが来ました。その運転手は許可をもらっていなかったようです。多額の罰金を科せられるそうです。SHさんは我々のためにきちんと許可をもらっていたので、なんのお咎めもありませんでした。中国の検閲体制を垣間見た旅でした。
周りに観光客がいないのを見計らい万里の長城の上を、100メートルほど走ってみました。長城のもう一つの思い出といえば素朴なトイレでした。同行していた家内ら女性は面食らったようです。