ハングルと私 その7 孫先生と買い物

阪神淡路大震災の前後に、兵庫教育大学には韓国から一人の教授が客員研究員として赴任していました。大邱教育大学校からきていた孫教授という方です。専攻は道徳学です。震災後、大阪から大学の宿舎に中国道の高速バスで帰るのに6時間かかったエピソードの持ち主です。

孫先生は車を持っていなかったので「ナリタ先生、買い物に連れて行ってください」という電話がしばしばきました。そして大好きなDスーパーに行っては「ナリタ先生、これを買いなさい、安いですよ、買いなさい」というのです。
「先生、安物買いはいけませんよ、」と私が「諭しても」意に介しません。「買いなさい、買いなさい、」です。

あるとき、大学の副学長が孫先生の研究室のあった学校教育研究センターにやってきました。私は偶然そこに居合わせました。次のような会話が副学長とで交わされました。なんでも孫先生はある学会に参加したいということを伝えているようでした。

孫先生 「私は招かれているのですから、東京の学会に先生が私を招待するのは当然ですよ。」
孫先生 「韓国では、副学長先生をお招きするときはどこにでもお連れします。それが礼儀なのです。」
副学長 「そうですか、、、韓国と日本の文化や習慣の違いですね。」といって苦笑していました。人を招いたときは「もてなしで徹底する」のが韓国人の考えなんですね。

昌徳宮
元王宮
光化門