イスタンブルとソフィアの旅から その19 リラ修道院 その3 イコノスタシス

再度、リラ修道院のフレスコ画の話題を取り上げます。ソフィアにあるブルガリア正教会のアレクサンドル・ネフスキー大聖堂(Alexander Nevsky Cathedral)の内部は蝋燭がともされ、フレスコ画や天井の色がくすんでいます。しかし、リラ修道院は違います。19世紀に再建された聖母誕生教会はパウェル・イアノフ(Pavel Ioanov)によって設計されたとあります。1834年から1837年にかけて聖堂は完成し、5つの塔、3つの聖壇、2つの礼拝堂から成ります。そしてイコノスタシス(Iconostasis)という木造の壁には精緻な彫刻が施され、表面は金箔となっています。この完成には4人の彫刻師によって5年の年月を要したと記されています。そういえば、神田にあるロシア正教会ニコライ堂も多層式イコノスタシスとして知られています。

今も極彩色で輝くフレスコ画は、1864年に完成したと記されています。バンスコ(Bansko)、サモコフ(Samokov)、ラズログ(Razlog)といった町から画家が呼び寄せられたとあります。なかでも有名だったフレスコ画家はザハリ・ゾグラフ(Zahari Zograf) とディミタ・ゾグラフ(Dimitar Zograf)という兄弟です。

宿坊を中心とする建物は4階からなり300の部屋、4つの礼拝室、修道院長室、歴史博物館、図書室、厨房を擁しています。図書室には250記録文書や9,000冊の古文書が収蔵されています。今も4階は修道士の宿坊となり修行しています。

歴史博物館の秘蔵品は、ラファエル(Raphael)という修道士が彫った高さ50cmの木彫りの十字架。140もの聖書物語が彫り込まれています。十字架に彫られている人物は約1,500。一つひとつ人物の表情が異なっています。

Europe, Bulgaria, Rila Monastery, frescoes by Zahari Zograf, Nativity Church, Unesco World Heritage Site

歴史博物館には次のような英文の説明があります。
Dear Guests,
Welcome to the Ecclesiastic and Historical Museum of Rila Monastery. Founded in the 10th C. by the most worshipped Bulgarian Saint Ioan Rilski, Abbey has preserved through the ages exquisite examples of the Bulgarian and foreign ecclesiastic arts and crafts. Part of this priceless treasure is exposed in our exhibition. We sincerely hope that it will be also treasured in your hearts.

大切な用語を説明します:
 ecclesiastic 伝道的、宣教的
 monastery 修道院、僧院
 abbey 寺院、礼拝堂
 priceless かけがえのない、至宝の
 treasured 大事にする