イスタンブルとソフィアの旅から その11 トルコとEU

トルコは地理的、経済的に潜在性の高い国の1つといわれ、日本の企業にとっても耳目が集まる重要な国となっています。その例は、トルコの人口の急激な増加があります。若年層が多く消費も旺盛なのが特徴なのです。イスタンブルには大きなショッピング・モールがいくつもあり賑わっています。

しかし、トルコは輸入超過国であり、投資家がリスクを回避しようとして資本を引き揚げるという懸念も取り沙汰されています。事実、通貨であるリラと株が売られ、他の新興国ど同様に資本が国外に流失したこともあります。さらに市民の生活や雇用、住宅などの不安が広まり政権に対する抗議デモも続き、2020年のオリンピックの招致に失敗したのも事実です。

トルコはそうした国内の経済の不安定な状態から脱却することに腐心しながら、欧州連合(EU)への加盟を以前から模索しています。ですがEUは経済情勢のみならす、クルド人への人権抑圧などを理由に、トルコの加盟には慎重な態度をとっています。トルコにとっては、ヨーロッパ、アジア、中東への地政学上の有利さをいかして、貿易の振興を図るためには、米ドルに次いで信用のある第2の基軸通貨とされるユーロを導入するのが必要とされています。そのためにもEU加盟は悲願なのです。如何せんトルコリラは信用度が低いままです。2018年にリラがおよそ30%も下落しインフレ率と金利が急上昇、内需が急激に縮小し、成長が著しく鈍化しました。