キリスト教音楽の旅 その26 日本のキリスト教と音楽 聖公会

以前、ロシア正教会の歴史や音楽などに触れました。キリスト教音楽は教派の執り行う礼拝形式と深い繋がりがあることにも触れました。例えばルーテル教会の礼拝では個人の信仰を重視し、それに表現を与えることに熱心でした。それがコラールを生むことにつながりました。音楽を尊重したことから、16世紀から18世紀にかけてコラールの聖歌隊用の編曲が無数に作られました。後年のブクステフーデ(Dietrich Buxtehude)、パッヘルベル(Johann Pachelbel)、クーナウ(Johann Kuhnau)らの作曲家です。こうした音楽家の業績はバッハ(Johann S. Bach)によって集大成され、テレマン(Georg Telemann)によって近代的に味付けられたといわれます。

ルーテル教会と同様に、比較的ローマ・カトリック教会に近いといわれる聖公会の音楽はどうでしょうか。聖公会は英国国教会(The Church of EnglandとかAnglican Church)といわれます。アメリカでは監督派教会、The Protestant Episcopal Churchと称します。ただ、監督派は必ずしもこの教派だけの呼び名ではありません。The Church of Englandはイギリスにおける宗教改革に端を発して英国国教会となった経緯があります。ローマ教会に対する国民的な反感が起こります。ただ、教理上ではローマ教皇の権威を認めないことを除けば、カトリック教会の教理を継承しています。

聖公会は、ローマ教会、ルーテル教会、東方正教会と同様に成文祈祷や典礼書が備わっていて、教理、信仰、典礼、音楽に関してはローマ教会に近く、他の要素ではプロテスタント教会に近いのも聖公会の特徴といえます。例えば典礼では自国の言葉を使うのもそうです。ローマ教会はラテン語を使用します。