アジアの小国の旅 その八十  アラブ首長国連邦

中東という地名を聞くと、なんとなく政情が不安定な国々というイメージが浮かびます。確かにその通りなのですが、例外があります。それはアラブ首長国連邦(United Arab Emirates: UAE)です。特に首都のアブダビ (Abu Dhabi)やドバイ(Dubai)は群を抜いて治安がよいことで知られています。「Emirates」とは「首長権限」という意味です。

この国の建国までの短い歴史です。紀元前3000年頃にさかのぼる居住跡が発見されています。7世紀イスラム帝国(Islamic Empire),次いでオスマン・トルコ(Ottoman Empire),ポルトガル (Portugal),オランダ(Netherlands)の支配を受けます。17世紀以降になると英国のインド支配との関係で,この地域の戦略的重要性が認識されていきます。18世紀にアラビア半島(Arabian Peninsula)南部から移住した部族が現在のUAEの基礎を作ります。1853年には、英国は現在の北部首長国周辺の「海賊勢力」と恒久休戦協定を結びます。

UAEは紅海に面し、北にはやがて造られるスエズ運河を控えています。1968年英国がスエズ運河以東撤退を宣言したため,独立達成の努力を続け,1892年には英国の保護領となります。1971年12月,アブダビ及びドバイを中心とする6首長国が統合してアラブ首長国連邦を結成します。爾来UAEはアラブ・イスラム諸国及び西側諸国等と協調的な外交を展開していきます。

An Artificial Jumeirah Palm Island On Sea, Dubai, United Arab Emirates

UAEの主たる資源は原油や天然ガスで、原油製品や金加工製品を輸出しています。世界銀行の資料によりますと、国民一人当たりのGDP はなんと43,004ドル(450万円)に及んでいます。今や、UAEは石油への依存から世界の金融市場へと向かっています。2013年には世界最大の太陽光発電プラントを完成させ、2万世帯への電力供給を行っています。

建国以来、数十年で急発展しているUAEの発展は都市のドバイに現れています。ドバイは数多くの世界一があります。写真をみますと、例えばバージュ・カリファ(The Burj Khalifa) は、828mの世界一高いビルです。世界の最先端の技術や諸文化が集まるドバイ国際博覧会が2021年10月に予定されています。