ハングルと私 その18 家具と李氏朝鮮王朝時代

大邱教育大学校のベエ先生が住まわれる高層マンションの話題の続きです。先生のお宅入るとその広い居間に驚きます。20畳はゆうにあります。わたしのコンドミニアムとは比較になりません。壁には家族全員が写る大きな写真が飾られています。家族の絆を感じます。そして立派な茶タンスにあたる調度品が埋め込まれています。もちろん全室オンドルです。

家具の華やかなデザインに驚きます。実に豪華なのです。家具の表面のデザインは、木目を強調したもの、あるいは貝殻などを埋め込んだものなど、職人の業で相当の時間をかけて造られたことが伺える作品です。こうした家具の伝統は1392年から500年以上に渡って栄えた李氏朝鮮(이씨조선)王朝時代に由来します。王朝という華やかな時代の文化・芸術から生まれたのが「李朝家具」といわれています。李朝家具の多くは、当時ヤンバン(양반)と呼ばれていた支配・知識階級たちの書斎道具としても用いられました。

その中でも収納ダンスは、ヤンバンだけでなく庶民にも広く行きわたった品です。このタンスはパンダジと呼ばれ、半分が前開きの扉となっています。中は空洞でかさばるものを収納するのに便利なものとなっています。この家具には金運を招くという言い伝えがあります。落ち着いた造り、その重厚な存在感は李氏朝鮮王朝時代の伝統といえるでしょう。李朝家具は、木目の風合いと真鍮金具の美しさが融合した造形美を伝えています。