ハングルと私 その17 DMZツアーと臨津閣

現在アメリカと北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)とは政治的に微妙な関係にあります。トランプ大統領と金正恩主席との関係です。韓国(大韓民国)の立場も不明な状態です。なにか政はだだっ子遊びのようなところもあります。

韓国と北朝鮮の軍事境界線上にある村が板門店(판문점ーパンムンジョム)です。現在も北朝鮮と国連軍との間に「停戦」状態が続いています。板門店長く冷戦の象徴で、今も数少ない「冷戦の最前線」といわれています。軍事境界線とは非武装地帯のことでDemilitarized Zone:DMZといます。朝鮮半島の38度線をまたぐ幅2キロの軍事境界線のことです。

ソウルから車で1時間くらいのところにあるのが臨津閣( 임진각ーイムジンガク)です。軍事境界線付近を見渡すことのできる場所です。ここは板門店と異なり、一般市民が北朝鮮に最も近づける地です。韓国の人は離散家族が北朝鮮にいる家族を思って訪れる場所ともされています。案内と説明はソウル教育大学校教授の趙先生でした。ここを見学するには、パスポートなどを所持してツーリストの車でしか行かれません。

臨津閣は、南北統一の重要さを知るために建てられたと書かれています。一帯は広大な観光地となっており、平和の鐘閣、自由の橋、望拜壇とそれにまつわる展示などを見て回ることができます。臨津江(임진강 )が眼下に見えます。統一への願いが展示物に現れています。臨津閣には、1978年に発見された「南侵第3トンネル」があります。北朝鮮軍が韓国への侵入用に掘った本物のトンネルです。見学ができるのは、深さ73m、長さ245mの部分です。全長は1,635mあるといわれています。観光化のために整備されてはいますが、このトンネルを頭をかがめて通ると韓国が未だに戦時下にあるということが実感できます。

トンネルをでると、韓国軍の兵士数名が休んでいました。声をかけるとソウル出身で脱走とか不測の事故が起きないように、厳重な審査で選ばれてここに派遣されているとのこと。大学生のとき徴兵され、いわば軍人のエリートとして駐留しています。兵役が終わると然るべき職業や地位が保障されていると兵士が語ってくれました。そういえば大邱教育大学校のキム夫妻のご長男もここの米軍本部付きで駐屯していたそうです。

臨津江