ハングルと私 その15 ベエ先生のお宅

ベエ(배한극)先生ご夫妻は、大邱市の高層マンションにお住まいです。韓国の中都市以上には、どこも高層マンション群が立ち並びます。土地が少ないので住宅は高層化しています。

オンドル

こうしたマンションの特徴は、まず間取りがゆったりしていて4DK, 5DKはざらにあることです。部屋の大きさ、特に居間の広さは驚きます。次に、すべてが集中冷暖房であることです。お湯はいつでもでます。温水床暖房であるオンドル(온돌)がすべての家に普及しています。

朝鮮の家屋は、かつては薪やわらなどの煙で床を温めていました。1960年代から80年代にかけ練炭を燃料としたオンドルが主流となったのですが、床にできたひび割れから一酸化炭素が室内に漏れて、就寝中の家族が中毒死する事故が頻発しました。それ以来、温水床暖房に代わります。煙で2階建ての家を温めることが困難なために、韓国では平屋の建物が主流となりました。日本の民家は蒸し暑い夏に備えて、造りが開放的なのが特徴とされますが、他方朝鮮半島の民家は寒い冬に備えて、オンドルを用いて出入口や窓をできるだけ小さくする造りになっています。

ベエ先生のお宅は全室オンドル。全員寒い冬でも半袖姿ですごしています。オンドルのお陰で蒲団や座布団は薄くなっています。それに引き替え、我が国のアパートやマンションは、各戸で暖房や冷房を備えるという不便なありさまです。日本は住環境では後進国といえます。