老化の第二の現象

Last Updated on 2025年2月11日 by 成田滋

心のもちようは日々のちょっとした振り返りによって変化します。特に精神の老化を避けるための努力が大切なようです。前回述べた10の精神の老化現象についての対応について考えましょう。今回はその二つ目の老化現象についての対策です。

 老化の現象は、自分の経験をなんどもなんども話したがることです。「それはもう聞きましたよ、」といっても、時間が経つとまた話したがるのです。繰り返し同じことを聞かされるのにはうんざりしますが、時に拷問のようなものとなります。お年寄りの中には、会話のなかで何回も同じ事を繰り返す方がおられます。中年の大人の中にも似たような人がおります。講演会や研修会でもそのような方を時々見受けます。ご当人がそのことに気がついていないのは気の毒なことです。でもお年寄りの場合は仕方がないこともあります。

 なぜ同じ話題を繰り返すのでしょうか。その第一の理由は自分の話を振り返る機会が少ないことが考えられます。周りの者に「その話はさっき伺いましたが、、」とか、もっと親しい関係になると、「さきほどその話は聞いたわよ、、、」という人がいないからです。もし録音しておいた人との会話の内容を聞く機会があれば、自分の望ましくない癖を直すことができます。なにごとにおいても自分を正当化しようとするのが人の性(さが)です。自分を振り返ってみようとする姿勢が大事なのです。

 繰り返しの第二の理由は、たくさんの大事な経験が少ないことが挙げられます。話題が限られているのであれば、これも仕方がありません。その解決の方法としては、経験や体験を自分なりにかみしめて、それを脳のたくさんの引き出しにしまっておくことです。そうすると対話の相手とでいろいろな話題を共有できることになります。経験は行動といった目に見える行為だけではありません。書物を読むことによって示唆を得るとか、書物からはっとするようなことを考える機会もらうことも体験です。いくつになっても私たちには、ある種の好奇心を持とうとする気概が必要なのです。

 繰り返しの第三の理由は、聞く耳をもたない姿勢です。相手の経験や話題よりも自分の過去経験などに関心があるためです。一度試しに「自分の考えや気持ちを言う前に、相手が言いたいことを相手に言葉で確かめて」みてはどうでしょうか。傾聴する態度があれば自分の話題とを比較することができます。世の中にはさまざまな人がいて、さまざまな考えを持っています。鳥の鳴き声でも子どもの遊びの叫びでも時に新鮮さを感じるものです。人と自然とのつながりによって自分は生かされていることを考えてみるのはいかがでしょうか。

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